路上に落ちるパンの過去

パンが道路に落ちていた。

しかも丸々一個ではなく、切れ端がだ。

のび太的な人が、朝パンを咥えたまま家を飛び出し、うっかり落としてしまったのだろうか?
のび太が咥えていたのは、確か食パンだったはずだ。
食パンの切れ端、つまり耳の部分だったらまだ納得できる。
パン屋さんでも耳だけ落としてサンドイッチを作ったりしてるから。

しかし、落ちていたのは紛れもなくハードなフランスパンの切れ端だった。
しかも末端部分が一切れだけ。狂気すら感じる。

パンという当たり前に目にするものが、
同じく当たり前のように目の前に広がる道路に落ちているだけなのに、
この違和感の正体はなんなんだろう。

路上に落ちるパンをじっと眺めながら、そんなことをボーっと考え込んでいたら
少年が気まずそうにしながら、僕の横を足早に通り過ぎる。

すまない。少年よ。
君の目には、パン×道路×おじさんのコラボになって余計混乱させてしまったかもしれない。
せめて通報とかはしないでおくれ。

すると、そのパンをカラスが咥えてどこかへ飛んでいった。

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