この順番で行くと三列シートの真ん中だ

僕は年間を通して、割とロケのお仕事が多い。
都内だけでなく地方へも行かせて頂くことも多いのだが、
当然のことながら撮影現場までの移動は駅直結とか空港直結とかでもない限り、
必ずと言ってもいいほど車に乗ることになる。
ということで、ロケバス・ワゴン・バン・乗用車、
その時々によって様々な車両に乗せて頂いている。

これらの車に乗り込む際、僕には必ず頭によぎることがある。

「どこに座るか‥」

ロケバスは分かりやすくて良い。
座席も多いし、なんとなく暗黙の了解で、役職ごとに席が決まっている感がある。
ディレクターで言うと中央窓際あたりみたいな感じ。(勝手な私見です)

ワゴンとかバンだと時に悩ましい。
助手席は大概どんな車両でも制作の方が乗る感じなので、自ずと後部座席にはなるのだが
座席に余裕がない場合、乗り込む順番から気をつけなければならない。

「この順番で行くと三列シートの真ん中だ」

気づいたら荷物を積み込むスピードを緩め、乗り込む順番を調整している自分がいる。
本当にちっちゃい人間ですみません。
そんなこと気にするなんてと思う人もいるかもしれない。
それに現場にいるクルーは大概の場合、皆顔馴染みでもある。
でもなんだろう。両脇を挟まれる感じが、なんか損した気分になる感覚。
電車でも座れるなら、なるべく端っこに座りたい。
新幹線も飛行機も通路側か窓側が良い。
そんなどうでもいいことを、また例によって頭の中でぐるぐると考えていると
制作の方が僕に声をかけてくれた。

『車の中狭いんで、並木さん助手席乗ってください。』

君は神か。
でも僕なんて人間は、気遣って席を譲ってもらうほどの人間ではないんです。

「いや有難う。大丈夫です。」

なんてめんどくさい中年だ。自分でもそう思う。
まぁでも結局、三列シートのドア側のポジションに身を落ち着けた僕。
颯爽とドアを閉める。いざ出発!

『並木さん、半ドアです。』

そう、僕はこんな人間です。

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